改正高年齢者雇用安定法
2012年10月30日
「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律の一部を改正する法律案」が第180回通常国会で
可決成立しました。
改正のポイントは次の4つです。
1.継続雇用制度の対象者を労使協定等で制限できるルールが廃止される。
2.継続雇用先の企業の範囲が拡大される。
3.違反した企業に対する企業名の公表
4.高年齢者雇用確保の実施及び運用に関する指針の策定
この中で最も重要なのが、ポイント1の継続雇用制度の対象者を労使協定で制限できるルールが
廃止されたことです。
そもそも、今回の改正は、年金支給開始年齢と大きく係わっています。
御存知かと思われますが、年金の支給開始年齢は年々引き下げられいずれ老齢年金の支給開始
は全員65歳支給になります。
そうなると、現在の定年60歳では65歳支給開始されるまで、収入が無くなってしまいます。
そこで、国は企業にまた負担を掛けたということでしょう。
現在定年は60歳ですが、定年後労働者が希望すれば、65歳まで雇用しなければなりません。
しかし、継続雇用の対象者を限定する基準を労使協定で定めることが認められています。
例えば、運送会社などで、協定で「60歳定年到達後に健康状態に問題がない者」や「視力1.0以上の者」などと協定すればその基準に満たなければ再雇用しなくても良いという事です。
今回の改正は、その協定が無効になり、平成25年4月1日からは希望者全員を継続雇用制度の
対象としなければなりません。
ただ、これまでの基準に該当しなかった方をそのまま雇用し続けなければならないかと言うと
そうではなく、雇用を満了させることは可能です。
しかし、定年退職ではなく、会社都合による退職になり、本人が拒否すれば「会社都合による解雇」
になる可能性があります。
また、今回の改正でも、心身の故障のため業務の遂行に堪えない者や勤務状況が著しく不良で改善の見込がない者などは、これまで通り継続雇用制度から対象外とする事になりました。
いずれにせよ、現在労使協定で継続雇用の適用除外の基準を決められている事業主はそろそろ
見直しをご検討された方が良いかと思います。
次回は基準を引き続き利用できる経過措置について掲載します。